タイヤ預かりは、置き場所・受け入れ条件・預かり証・取り出しの手順を先に決めて、交換の繁忙期が来る前に始めます。
- 置き場所は、屋内で日光と雨が当たらず、ラックの区画ごとに番号を振れる場所を選びます。
- 料金は、期間・本数・ホイールの有無・サイズ・交換作業を含むかどうかで組み立て、期限を過ぎたときの扱いと一緒に預かり証に書きます。
- 預かり始めたら、「誰の・どのタイヤが・どの棚に・いつまで」を台帳とラベルで管理します。
タイヤ預かりは、交換のお客様に「次の季節もこの店で」と決めてもらうきっかけになるサービスです。 一方で、預かったタイヤは何か月もお店の責任で置いておくことになります。 始めてから決め直すと、すでに預かっているお客様との約束を変えることになるので、この記事の項目は始める前に決めてください。
置き場所は「屋内・日光が当たらない・番号を振れる」場所を選ぶ
タイヤのゴムを傷めるのは、日光(紫外線)・雨・熱・油です。 置き場所は、屋内で、直射日光が当たらず、オイルや溶剤を置く場所から離れたところを選びます。 お客様に「家で置くより安心」と言える状態であることが、預かりの前提です。
広さは「セット数 × 1区画」と「通路」で考える
- 1セット(4本)を1区画と決め、ラック1台に何区画入るかで、預かれるセット数を数えます。
- ラックの前には、タイヤを持って人がすれ違える通路が要ります。ホイール付きは1本でも重いので、台車が通れる幅があると出し入れが楽です。
- 交換の繁忙期は、入庫と出庫が同じ日に重なります。外したタイヤを一時的に置く場所を、ラックとは別に用意しておきます。
ラックは、ホイール付き4本の重さに耐えるものを選ぶ
タイヤ用のラックを使うと、床に積むより場所を取らず、区画ごとに分けて置けます。 ホイール付きを置く前提で、1段あたりの耐荷重を確かめてください。 ラックの列と段には、「A-1-3」のように棚番を付けておきます。この棚番が、後の管理の土台になります。
受け入れ条件と料金の組み立てを、先に決める
どのタイヤを、どの条件で預かるかを決めます。決めておくことは次のとおりです。
- 預かる対象:自分の店で交換するタイヤに限るか。タイヤだけ(ホイールなし)も受けるか。
- 受け付けない状態:溝が残っていない、傷やひびが深い、など、次に使えないタイヤをどうするか。
- 期間:半年ごと、1年ごと、などの区切り方。
料金は、次の要素を組み合わせて決めます。どの要素を料金に反映させるかを決め、店頭と預かり証で同じ表を使います。
| 要素 | 料金に効く理由 |
|---|---|
| 期間 | 棚の1区画をふさぐ長さが変わる |
| 本数 | 4本か、2本や5本以上か |
| ホイールの有無 | 重さと、置き方(積むか立てるか)が変わる |
| サイズ(インチ) | 大きいタイヤほど区画を広く使う |
| 交換作業を含むか | 預かりと履き替えをまとめるか、別にするか |
| 洗浄・点検を含むか | 預かる前の手間が変わる |
預かり証と約款に、後で揉めやすいことを書いておく
預かり証(お客様に渡す控え)と約款(預かりの決まり)は、お客様と店の約束の記録です。少なくとも次のことを書き、お客様の確認をもらいます。
- お客様の名前・連絡先、車、タイヤのサイズと本数、ホイールの有無
- 預かった時点の状態(溝の残り、傷)。写真を撮っておくと確実です
- 預かりの期間と料金
- 取り出しの申し込み方(何日前までに連絡するか)
- 期限を過ぎたときの扱い(連絡の方法、延長の扱い、引き取りが無いときの扱い)
- 預かり中の経年劣化(ゴムが自然に古くなること)は店の責任にしないこと
- 火災・盗難などで損害が出たときの補償の範囲
補償は、加入中の保険で足りるかを確かめる
預かったタイヤが火災や盗難にあったとき、店が加入している保険で補償されるとは限りません。 「お客様の物を預かっているあいだの事故」が対象になるかを、保険会社か代理店に確かめてください。 約款の内容は、弁護士など専門家に一度見てもらうと安心です。
受け入れから返却までの手順を決める
スタッフの誰が受け付けても同じになるように、手順を決めて紙に書いておきます。
- 受け付けて、状態を記録する タイヤ4本の溝の残り・傷・製造年を見て、写真を撮ります。気になる点はその場でお客様に伝えます。
- 預かり証を渡す 期間・料金・期限切れの扱いを説明し、控えを渡します。
- ラベルを貼り、棚に置く タイヤに、棚番・お客様名・期限を書いたラベルを貼ります。置いた棚番を台帳に書きます。
- 期限の前に、お客様へ案内する 交換の時期と期限が近づいたら、取り出しや更新の案内を送ります。
- 予約の前日に、タイヤを出しておく 台帳で棚番を調べて、作業の前に出しておきます。当日に探す時間が無くなります。
- 返すときに、預かった時の状態と照らす 記録した写真と一緒に確認してもらい、台帳に返却日を書きます。
期限切れのタイヤの扱いは、始める前に決めておく
取りに来ないお客様は、預かりを続けるうちに出てきます。 連絡がつかないまま棚がふさがると、新しいお客様を受けられません。 次のことを、始める前に決めて預かり証に書いておきます。
- 期限の何日前に、どの方法(電話・メール・はがき)で案内するか
- 期限を過ぎたら、延長として扱うか、保管料をどう受け取るか
- 連絡がつかないときに、何回・どれくらいの期間、連絡を続けるか
- 引き取りが無いタイヤを最後にどうするか
お客様の物を店の判断で処分すると、後で争いになることがあります。最後の扱いは、預かり証にはっきり書き、専門家に相談したうえで決めてください。
始めるのは、交換の繁忙期の前
冬タイヤへの交換は、地域の初雪の前に集中します。目安はスタッドレスタイヤに替える時期の記事にまとめています。 預かりを始めるなら、ラック・棚番・預かり証・台帳を、交換の予約が入り始める前にそろえておきます。 繁忙期の途中で始めると、作業に追われて記録が抜け、どのタイヤが誰のものか分からなくなりがちです。
台帳とラベルで「誰の・どこに・いつまで」を管理する
預かりの管理で必要なのは、お客様・タイヤの内容・棚番・期限の4つが、いつでも結びついていることです。 台帳(一覧表)にこの4つを並べ、タイヤのラベルにも同じ棚番と期限を書きます。 棚を移したときは、台帳も直します。台帳の項目の決め方はタイヤ保管台帳の記事で詳しく説明しています。
棚の空き・契約の期限・棚札の印刷を、ひとつの画面で管理できますタイヤ販売店・整備工場・カー用品店向けの管理システム
管理できることを見る倉庫業と消防の決まりを確かめる
お客様の物を預かって保管する営業は、形によっては倉庫業法の登録が要ります。 タイヤの販売・交換に付いてくる預かりは登録が要らない扱いになっていますが、要件があります。 詳しくはタイヤ預かりと倉庫業の登録の記事を読んでください。
また、ゴム製品は量が多いと消防法の「指定可燃物」に当たります(危険物の規制に関する政令 別表第四。合成樹脂類として3,000kg以上)。 保管の決まりは市町村の火災予防条例で定められているので、預かる量が増える前に管轄の消防署に確かめてください。
TIRAGE を使う場合
TIRAGE は、タイヤ預かりの管理システムです。上の手順のうち、次のことを画面と印刷で行えます。
- 棚の地図で、どの区画が空いているかを見る
- タイヤ4本の溝の残り・製造年週・傷・写真を記録する
- QRコード付きの棚札と、注意事項入りの預り証を印刷する
- 期限が過ぎた契約を赤で確認し、満了の60日前・30日前・7日前にお客様へ案内メールを自動で送る
よくある質問
- 屋外のコンテナや物置で預かってもいいですか?
- 日光と雨を防げても、夏は中が高温になります。置くなら直射日光の当たらない場所を選び、温度が上がりすぎないかを確かめてください。お客様には、どこで保管するかを伝えておきます。
- 預かれる数はどうやって決めればいいですか?
- ラックの区画数が上限です。繁忙期の一時置き場と、急な依頼のための空きを少し残して、受け付ける数を決めます。
- 溝が少ないタイヤを預かってほしいと言われました。
- 次の季節に使えない可能性があることを伝え、溝の残りを記録してから預かります。預かり証にも状態を書いておくと、返すときの説明がしやすくなります。
- 預かりのお客様に、次も来てもらうにはどうすればいいですか?
- 期限の前の案内で、交換の予約もまとめて受けるのが基本です。くわしくは預かりのお客様に次も来てもらう方法にまとめています。
タイヤ預かりの管理を、紙と Excel から移しませんか
TIRAGE(タイレージ) は、預かったタイヤの場所・状態・期限をまとめて管理するシステムです。 実際の画面と印刷物を見られます。
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